ちょうど4年前の2010年1月末。
JobsのKeynoteでiPadが発表されたとき、原宿の地下のカフェでのKeynoteパブリックビューイングの場にいました。
誇らしげにiPadを掲げてみせるJobsの姿は今でも脳裏に焼き付いています。
当時全盛期だったNetBookを「安物でしかない」と両断し、MacとiPhoneの間を埋める物としてiPadが発表されました。
“デジタル・ハブ”の騎手として位置づけられたiPad、私の関心は書籍のリーダーという点に集中していました。すでにMacBookが体の一部だった私にとって、映像を見たりブラウザを見たりするのはパソコンの前にいるのが自然で新しい窓を必要としていませんでした。
ただし読書についてばかりは別で、前傾メディアであるPCは読書とどうしても相性が悪く感じていました。iPhoneではスクリーンが小さすぎて読みづらですし。
iPadがあればどこでも本が読める。肩のこりが軽減される(だろう)。そう思って発売を待ちました。日本では発売が相当遅れるとわかり、アメリカから個人輸入。GoodReaderを買って、家の本棚の相当の割合を自作業者に発送しました。(おかげでiPadの何倍ものコストがかかりましたが・・・)
まずは紙のPDF化。iPodが音楽を大量に持ち運べるようにしてくれたように本のモビリティが飛躍的に解決しました。
しかし「電子らしさ」は質量が0になることだけではないはず、「デジタルらしさ」を伴って目の前に現れてくれるだろうと期待しながら。
「マルチメディア」という言葉が流行った頃に思春期を過ごした私はあの懐かしい感動の再来を予感しながら。
その後、待てど暮らせどiBooksが盛り上がってきませんでした。
日本でのサービス開始の報せもこず。
本国の書籍もいわゆるペーパーバックのようなものばかり。「テキストを読む」と言うことに特化したメディアとしてはそれでよかったのですが。
表現の幅を大きく拡げてくれるEPUB3と呼ばれる電子書籍の国際規格がFIXし、「楽しい」電子書籍ができてくるかと思えど、どのビューアもEPUB3に対応せず、絵に描いた餅を眺め続けていました。やっとiBooksがしっかりとEPUB3のレンダリングができるようになり、個人的にあそんでいました。
そんな中、今度こそとiBooks Storeが日本に上陸するというウワサが立ち上がり、ある日、突然日本のストアが開いたのでした。カドカワさんとこっそり準備していた”Ko Shibasaki Lyrical*World”を世に放ち、「さぁ」と思ったところで、”リッチ”な書籍はあまり出てきませんでした。
Ko Shibasaki Lyrical*World
制作の敷居をさげることで「制作者が少ないから流行らない」「流行らないから誰も制作しない」の無限スパイラルを脱却させたい、と今までの経験をblogに書いたら書籍になりました。
HTMLとCSS、JavaScriptでつくる、リッチなiBooks電子書籍 サポートページ
インプレスR&D社のデジタルファースト出版プロジェクトから出版されています。
HTMLとCSS、JavaScriptで作る、リッチなiBooks電子書籍 | NextPublishing
デジタルファーストと言うくらいで、KindleとKoboで発売されいて、iBooks Storeにも並ぶはず、、、が遅れている模様。
リフロー、固定レイアウト、ビデオ、音声、インタラクティブ、埋め込みフォントなど。
楽しい電子書籍を作るための基本の基本をチュートリアル形式で説明しています。
タイトルにあるとおり、Web制作の基本的な知識があれば、EPUB形式の本は簡単に作ることが出来ます。
この本を読むとどんな本ができあがるか、ちょっとだけサポートサイトにビデオを上げています。まぁ、このサンプル自体はたいしたことが無いのですがここから先にこれだけ簡単にいろいろできるんだ、ということが解ってもらえればと思っています。
チュートリアルを1つずつ追わなくても、ざっと眺めてサンプルを手元で動かして、余力があったら分解して中身を見てみる、という読み方でもだいたいの感は解るかと思います。(分解の方法も書籍内に書かれています)
iPhone/iPadだけでなくMacにもiBooksが搭載されたので、この本を読みつつでコードをいじって書籍を作って遊んでもらいたいと思っています。
キーボードの横に紙の書籍やiPadを拡げておく、と言う時代じゃないぞ、と。
とはいえ紙で読みたい方は、KindleのPrintOnDemandで紙の書籍を購入頂けます。(祝・本日発売)
受注生産でお届けされるので、一般の書籍よりはちょっと割高になっていますが、専門書と言うことで大目に見てやって下さい。
この本を読んで下さった方の中から、仲間がどんどん増えてくれることを祈りつつ。
電子の方は無料サンプルで冒頭が読めるので、それだけでも読んでみて下さい。
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