- January 10, 2008
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待つことをやめて見えたもの
久しぶりに、芝居の台本を音読した。
以前は、ただひたすらに涙がこみ上げて、
ただ真っ直ぐに、のめり込んだ台本だった。
そして、以前とは違う観点から、読めた気がして、
自分は少し強くなったかもしれないと思った。
そして、私をこうやって強くしてくれたものは、
愛する友人たちと、常に側にいてくれる人。
そして、広い海とこれまでの全ての時間だった。
「誰でも一度はカラスだったことがあるのだ・・・」
「誰でも一度はカラスだったことがあるのだ・・・」
おそらく何千年何万年も前から、
カラスと人間の雑居生活は続いている。
けれども、
カラスはぜったい人間のペットにはならない
いつも、自由な生き方を選ぶのだ
そう、私も一度はカラスだったことがあるのだ
そして今、もう一度、カラスの頃に戻っていく。
自由になって、私は自分で生き方を選ぶ。
誰の指図も受けないで、自由に生きる。
人間の生活には、喜んだり悲しんだり憎んだり、
いろいろな感情があるけれど、
それは人間のほんの1%を占めるだけで、
後の99%はただ待って暮らしているだけではないだろうか。
幸福の足音が、廊下に聞こえてくるのを、
今か、今かと、胸がつぶれる思いで待っていて、
いつも胸の中はからっぽ・・・
待つ、待つ、待つ・・・
そして、ついさっき決心をして、待つのをやめたの。
だから、今の自分には幸福も不幸もない。
ただ、いっさいが過ぎていく・・・
大きく深呼吸すると、
全身の筋肉がやわらいで、血が流れ始めた。
そして、ただ過ぎていく時間の中に、
ある景色が過ぎった。
まるで、その場にたった今、立っているように、
それは鮮明に、光のように、輝いて見えたんだ。
緑色の石がめいっぱい散らばっている採石場。
太陽の光を燦々と浴びた酢橘の木々。
生命を育む水がこれでもかと云わんばかりに溢れる滝。
エメラルドが澄みきったなめらかな川の流れ。
逞しく成長を続ける田園が風になびく瞬間。
青く、透き通るように高い高い空。
髪をくすぐる柔らかく穏やかな風。
遠くで鳴り響く祭り太鼓と笛の音色。
ゆっくり・・・ゆっくりと時間が過ぎる。
山の陰がゆるりと街を覆い、静かな夜がやってくる。
ふと見上げれば、満天の星がところ狭しと夜空を取り合う。
そんな美しい土地が、この地球にひっそりとある。
私は、ここで写真を撮っていこう。
記録を残し、街を見つめよう。
緑、青、橙。私がダイスキな色ばかりだ。
初めて訪れた土地。
けれど、忘れられない場所。
美しく、優しく、心良く、迎えてくれたんだ。
だから、私はここで写真を撮っていこう。
私は、ここでピアノを弾こう。
風になびいて、山に音色が届くかもしれない。
奏でる音が、心をもっと落ち着けて、
人に優しくできる気持ちが常に潜む気がする。
だから、私はここでピアノを弾こう。
私は、ここに骨をうずめよう。
草の香りがする土は、柔らかいだろう。
上流から流れ出た冷たい水は気持ち良いだろう。
そして、穏やかな気持ちで眠ることができるから、
だから、私はここに骨をうずめよう。
ただ流れる時間の中で、ゆっくりと心が動き始めた。
そして、今日は穏やかに過ぎていく。